時を、重ねていく。― 限定製作『KASANE』に込めた、物語 ―
300年の時を越えて、再び鳴り響いた音――
橋の上で醤油樽を叩き、小足駄を打ち鳴らしながら踊った、にいがたの人々。
その風景は、ひとつの絵巻物として記録され、時代を超えて私たちのもとへ届きました。
そして今から20年前。
その絵巻に描かれた情景をヒントに、新潟のまちにもう一度“踊りの音”を蘇らせようと生まれたのが、新潟下駄総踊りです。
人と人がつながり、
街と街がつながり、
世代と文化が重なり合いながら、
気づけば私たちは、20年という時間を踊り続けてきました。
その“音の原点”とも言えるのが、踊りに欠かせない「小足駄(こあしだ)」。
この特別な下駄は、新潟市西蒲区巻にある【小林履物店】で、三代目・小林哲男氏 四代目・小林正輝氏の手によって、一足ずつ、丁寧に製作されてきました。
そして今年――
新潟下駄総踊りが20周年を迎える節目の年。
伝統の技と想いを“重ね”た、記念モデル『KASANE(かさね)』が、
四代目 小林正輝氏の完全オリジナル制作により誕生しました。
この名には、ただ過去を振り返るだけでなく、
これから先の時間も、さらに“重ねて”いくという強い意志が込められています。
伝統の技を受け継ぎながら、
新たな表現へと進んでいく私たちの歩み。
一足の小足駄に刻まれるのは、
過去と未来が交差する“いま”という瞬間の音。
このKASANEとともに、
またひとつ、踊りの時間を重ねていきましょう。
▶【KASANE】商品詳細
本作『KASANE』は、「新潟下駄総踊り20年」を機に誕生した記念モデル。
復刻ではなく、これまでの歩みをふまえて生まれた「次の一足」です。
三つの意匠──
相三味下駄のしなやかさ、
大下方下駄の流線と軽快さ、
真角下駄の骨格的な安定感。
それぞれの美点を控えめに取り入れながら、いずれにも依らない設計。
輪郭はすっきりと洗練されながらも、足裏の安定感は確か。
踊りの実用性と舞台上での美しさ、その両立が最大の特長です。
この形状は、四代目・小林正輝氏による完全オリジナル。
既製品にはない造形であり、必要最小限に研ぎ澄まされた意匠です。
過剰を排し、本質だけを残した設計。
『KASANE』は、伝統の延長線上にある「今」の小足駄として、実用と審美のバランスを体現しています。
・20周年記念限定デザイン
・数量20足限定製作
・使用:新潟下駄総踊り(本番踊り用可)
この「KASANE」は、2025年7月22日新潟市長への新潟下駄総踊り20周年についての表敬訪問の際、記念品として贈呈させていただきました。
今後、新潟の文化としてこの踊りがさらに広まり、日本を代表する祭となることを願いその未来を築いていきます。